main

問題児は社長、変るときがきた(同友会の学び)

11月22日(木)、岡山国際交流センターで、中小企業家同友会の岡山南支部例会に参加しました。
報告事例は、有限会社ヒカリシルクの黒田英利代表取締役で、「問題児は社長、変るときがきた!!」と題して報告がありました。日頃の明るく誠実な黒田さん体験報告に40名ほどの会員が集まりました。
 
黒田氏は、昭和59年父親が創業したシルクスクリーン印刷業を後継し、今の有限会社ヒカリシルクの代表取締役です。平成6年に社員として入社し、実務をこなし、平成25年に代表取締役に就任しました。取引先の下請けで創業した経緯もあって、売上げの中心がその下請け業務です。当初はありがたいことに、安定した仕事があり、目の前の仕事をこなすことが中心でした。忙しさを理由に、経理の管理はおろそかになりがち、そのうちに外部環境の影響に翻弄するようになります。印刷業務全体が分かっていたことで、事業継承についても特に意識せず、やることが何も変らず、ただ役職が変ったような感じです。社長になっても財務は改善せず、外部環境を理由にしていました。何をすべきかわからない、社長の仕事って何か自問する日々を過ごします。
そんな折に、中小企業家同友会で経営指針書に出会い経営者のやるべきことがこれなのかもと思います。同友会で、自ら進んで、先頭にたって実践するより、経営者仲間に様々なアドバイスを素直に受け止め自分の問題を気づく学び方が始まりました。そして、6ヶ月の研修、「経営指針成文化研修会」で会社の経営指針書づくりに励みます。何をすべきか定まっていない経営者、アドバイスを真摯に受入れる黒田氏に、アドバイスは激しいものがありました。何のために経営しているのか?会社の存在意義はなにか?大切にしている価値観?人生観は?取引先や顧客に対する基本姿勢は、社員に対する基本姿勢は?、地域社会には?など経営者の姿勢を鍛えられます。何も答えを持たない自分に落ち込むこともあったといいます。なんとか形にした経営指針書ですが、社内発表もなかなか実施することが出来ず時間をかけます。社員からすれば、いままで聞いたこともない経営指針発表など目的すら分からない状態で開催することになります。社員の感想は辛辣でした。「私たちがどのようにしたらいいかわからない」「社長の思いの空回りしている」「社長の思いを伝えて欲しい」「現実的でない」「理想論だ」「実際には決めたことすら何も出来ていない」「危機的な状況なのに」率直な社員の意見に、悔しい気持ちがこみ上げてくる反面、社員は真剣に会社に本気で向き合い感想を言ってくれるありがたさも感じます。
すぐには社員との気持ちの共有は出来るはずもなく、ベテラン社員の退職など苦難は続きました。自分が言ったことが実践できない、それでも社員のためにと思ってやることが理解されない、気持ちは揺れ続けます。成長の過程であるヒカルシルクはこれから、学び続けながらも、アウトプットをしっかりすると言い切ります。学んだつもりになって誰もわかってくれていない。それは、自分がアウトプットをすることを怠ってきたからだといいます。行動しないと変らない。社員の危機感をもっと受入れ、社員が安心して働ける居場所づくり、社員を虫眼鏡で見るように、行動を尊重し我慢強くもやさしく向き合っていきたい。自分に言い聞かせるように、次の6つを鍛え上げると言われました。
  1. 聞く力
  2. まとめる力
  3. 行動する力
  4. 決断する力
  5. 連携する力
  6. 伝える力

社員と共に育つことが重要で、社員が色々と意見してくれることが幸せに感じるようになったと言います。今では最近入社した社員が新しい風をふかせ、いい兆しが見えてきたそうです。将来、5年後10年後、このときの気づきや思いが懐かしく思えるよう、しっかり成長していきたいと照れながら終わりました。

グループ討議は「あなたは同友会に入る前と入った後で何が変りましたか?また学ぶことで何を変えたいですか?」で5人のグループで討議を行ないました。経営を学ぶ理由は、何を学びたいか明確になっていないことが多いようです。黒田さんと同じく何かを変えたい、変えることが分からない、そういった漠然と不安感の中で学びに進んでいます。何がやりたいか、何が課題かわからない。それでも目の前に仕事(やること)があることは幸せなのかもしれません。しかし、やるべき事が明確でないと、自主的に物事は考えにくくなるでしょう。ただ目の前に流されていく危険をはらんでいます。成り行き経営の姿があります。経営を学びだして、「何為に経営をしているを初めて考えた」と発言される方がいました。大多数がそうなんじゃないでしょうか。事業継承でも目の前の製造や顧客対応が中心になってしまう。顧客に役立つ行為をすることを最終目的とすると、大切なことが見えなくなってくる。何のために経営するかを考えた上で、自分の行動パターンが変ったと意見がありました。習慣がかわる、経営者が何をすべきか見えないといけない。行動パターンが変ると実践の仕方も変ってきたと言います。同友会は経営者の体験談や経営者同士の討論が学び方の中心になります。様々な体験や考えに触れ、そして自分事として考えるときに、気づきがあったと言います。同友会は学ぶことを学ぶと言いますが、まさに自分で気づいてこそ実行に移せる学びなのだと思います。実践する上で、どうしても新しい方針や新しい考えを伝えると反発に合うようです。多くは、そのアイデアに、リスクや不安を持ち、ブレーキをかけます。反発にあえば、経営者の決断が揺らぎ、強い思いや根拠が薄いと実行に移せません。人は皆、変化を恐れるものです。決断が揺らがない根拠や理由、さらには信頼関係の構築など必要になるでしょう。
 
最後の、黒田さんの補足説明をご紹介します。目先のことばかり追っている自分がよく分かる。会社の会話もそれだけ。急ぎを急いでやる。でも大切なのは、急ぎでないが重要なこと、本当にやるべき事を社員と話し合って行なうこと。それが成長するキーワードじゃないか。社員への押しつけではいけない、自分が変ることによって会社をよくしていく。小さな事でも成果を出していく、その積み重ねが成長に繋がる。